正栄魔神記2

地球の人口は既に30万人を大きく割り、人類の滅亡は既に秒読み状態であった。

もう駄目だ―――隠れながらモンスターに怯えて生活する人々は皆、絶望を抱いていた。

人々の心がついに絶望に支配されそうになった時、突如としてそれは現れた。
それは巨大な人だった。8mくらいある人。
巨人達はどこからともなく、何万人単位で現れてモンスターを駆逐していった。

そして巨人は地球と月からモンスターを根絶やしにした。

人々はそれに歓喜した。
我々は助かったのだ、もうモンスターに怯える事はないと。

しかし、彼らが安堵したのは本当に束の間であった。

巨人達が人々へこう宣言したのだ。

「我々は火星人類シン・リャック。
 この地球は我々が戴いた。
 卑劣なる人類ども、貴様らには滅びる自由さえ与えぬ。
 今後は我々の奴隷として働くのだ!」

 

それから1年後、生き残った正栄拳の使い手達が、誰に言われるまでもなく集まっていた。

地球へと墜落した正栄ロボDXの元へ。

そして儀式が始まった。

時間を経て戦う力を無くす前、そんな時代の正栄拳の使い手を呼ぶ儀式が。

彼らは祈った。一目でそれが最強と分かる姿を持ったものを。

彼らは願った。何者の追随も許さぬ圧倒的に大きな力を。

そして、彼らの命と共にその儀式は終結へと向かう。

 

正栄ロボDXが光の塊となり、どんどんと大きくなる。

大きくなる事が止まると、死に行く正栄拳の使い手達の前に一人の男が現れた。

彼らの一人が最後の力を振り絞って言った。

「待っていたぞ・・・・ケンシロウ・・・」

ケンシロウと呼ばれた男は頷くと、巨大な光の塊の中へと入っていった。

シン・リャックは人々を必要以上に虐待し、こき使っていた。
人々は死ぬ事も許されず、ただ死んだような目をしてそれに耐える日々を送っていた。

「何を寝ている!さっさと起きて働かんか!!」

もはや起きる力も無いほど痩せこけ、倒れている男に向かってシン・リャックの一人が怒鳴った。
いくら怒鳴っても動こうとしない事に怒り、踏み潰そうとするシン・リャック。
そこへ爆発を間近で聞いたよう音とも言える声が響き渡った。

「そこまでだ!!!!!!!!!!!!!!!!11!!!」

それだけで、その近辺の人々の鼓膜は多大な被害を被り、ほとんどが気絶した。
それに何とか耐えたシン・リャック達が上を見上げると、とんでもなく大きいものが飛んでいた。

それは全長90kmの巨大ロボットだった。
一目でそれが最強と分かる大きさだった。
何者の追随も許さぬ圧倒的な存在感を持つ物がそこにあった。

そう、これこそがスーパー正栄ロボである。

 

そしてスーパー正栄ロボは地球を半壊させながらシン・リャックを、いつの間にか戻ってきていた火星にまで追い詰めた。

途中で人工太陽を半分消し飛ばしたが、そのまま安定させたので問題ない。

火星に上陸したスーパー正栄ロボから降りた正栄 兼四郎は、地球で見つけたDVDをシン・リャックの代表に見せる。

そこで人類とシン・リャックとの本当の関係が明かされる。

恨む必要は無かったのだと悔やみ、人類に必ず償いをするとシン・リャック達は言った。
このままいけば彼らと人類は和解するはずだった。

 

地球へと帰った兼四郎は、DVDを見た事で感動しており、栄度が異常に上がっていた。
そこで彼はこう思った。

「死んだ戦士と、兵器や建物を生き返らそう」

そしてその通りの事が起こってしまう。

地球が出来てから今まで、つまり80億年分を超える人類が作った建造物の全てが蘇り、
地球はメチャクチャになった。

さらに80億年分を超えるの兵士や兵器も蘇った。
彼らは死ぬまで戦っていたのだ、そうでない者も居たが、とにかく信じられないほど混乱した。

部分的にはとんでもなく混雑しており、生き返ってすぐに圧死してしまうような地点も沢山あった。
そして引き金が引かれた。
誰が撃ったのか分からないが、その一発で地球全体は過去から今までに存在した全ての兵士達の殺し合いで溢れかえった。

 

その事態を見た兼四郎は、

「シン・リャックめ!あれは時間稼ぎの罠だったのか!」

と勘違いし、火星を消し飛ばしてしまう。

 

スーパー正栄ロボが火星を消し飛ばす少し前に、神界から塚井 手が、
宇宙人の星へ観光に出かけていたARUSTが地球に戻ってきた。

2人は協力こそしなかったものの、地球の混乱を治めるという目的のため戦い、見事に混乱を治めた。

そして物語は終結する。

全75話。

 

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