アルスト「待てって!誤解なんだ!」

 カイム「誤解だと!?
  私をロープの罠にはめ、その上メッタ打ちにした卑怯者がよく言った!」

 アルスト「俺は戦闘のプロだぞ!その位は当然だ!
  卑怯なのはお前だろ!?不死身だなんてどんだけ卑怯なんだよ!」

今にも飛び掛りそうな二人が、鼻息も荒く言い合っていると、騒ぎを聞いた他のガード達も集まってきた。

 ガード「隊長!アダムス・フィリダ隊長!ご無事ですかー!」

アルストがカイム・アラゴナーと言っている男の本当の名前は、アダムス・フィリダというらしい。

 アルスト「クソー!こうなったら!」

アルストは回れ右して振り返りながら走り出す。

 アダムス「スタァァァァァアアアアアアップ!」

 

街中を暗くなるまで走り回るアルストとガード達。

曲がり角を曲がると、見覚えのある姿を見つけてアルストが叫ぶ。

 アルスト「サラアアアアア!」

 サラ「?」

サラが振り返ると、アルストがこちらへもの凄い勢いで走ってきていた。

ガード達を引き連れて。

 アルスト「サラ!丁度いいところに!こいつらをぶっ飛ばしてくれ!」

ピクッと片方の眉を動かして、サラはアルストの方に向き直る。
そして、アルストがサラの手前約1mの距離に到達した瞬間。

サラは左足を大きく前に踏み出し、一緒に体を折り曲げて右にひねりながら腰を落とし姿勢を低くし、拳を構え、
 
サラ「何をしたぁああー!!」
と、叫び、踏み出した左足を軸に体重を前に移動させながら体を素早く力強く起こし、正面を向くように腰をひねり、硬く握った右拳を空へと天高く突き出した。

いわゆるアッパーカットである。
そのアッパーは的確にアルストのアゴを捉えた。

 アルスト「・・・・!!!・・!!・・!!!!!!」

 

あまりの衝撃と急所への的確な打撃により、悲鳴をあげる事すら出来ずにアルストは空へと撃ちあがり、雲を引きながら星になった。
人間が何の道具も使わずに宇宙へと舞い上がるのを世界で一番はじめに見たアダムス・フィリダ達はポカーンと空を見上げていた。

 アダムス「・・・・っは!?
  そ、そこの君。いくらなんでもやりすぎなのでは」

アダムス・フィリダの言葉は、いまだに空を見上げていたガードの叫びに遮られた。

 ガード「ああああああああああああああああああ!!!
  たたたたたた隊長!!!!あれ!見てくださいアレ!星が!星がああああ!」

 アダムス「なんだ!?どうした!?」

するとガードが突然ポルナレフ風に言い始めた。

 ガード

         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは確かあの大きい星の辺へ飛んで行ったな、と
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        眺めていたら、突然割れ出した』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何がどうなったのか分からなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    DeadraだとかDagonだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」

何を言ってるのか分からず、頭に?を浮かべたアダムス・フィリダはとりあえず空を見た。

 アダムス「・・・・・・
  ・・・ぁぁぁぁあああああああああ!!」

ガードと同じように空を見上げ叫ぶ彼につられて、サラも空を見上げる。

 サラ「・・・・きゃあああああああああぁぁぁぁ!」

なんと空に浮かぶ星の一つが、パックリと割れていたのだった。

 

町の所々で悲鳴が上がる中、ガード達とサラは共に無言で冷や汗を流し見詰め合っていた。

 サラ「ご、ご、ご、ゴメンなさい;;」

とんでもなく悪い事をしてしまったと思ったサラは、ガード達に謝った。
だがしかし、恐るべきサラの力に恐怖し、目と耳を晦ましてしまったガード達には、別の言葉が聞こえていた。

←ガード達の妄想

 妄想サラ『なぁに見てやがんだぁ?
  アッレェ?この国にゃ、あの星ぶっ壊しちゃいけねぇって法律、あったっけー?』

 アダムス「い、いいいいえ。そんなとんでもない・・・」

 サラ「こんなつもりじゃ・・・
  ただちょっとアルストを懲らしめようとしただけなんです!」
 
妄想サラ『そうだよなぁ、んじゃアタシは別に何にも悪く無いってワケだ。
  アンタらぁがな〜んか見てたとしても、そいつぁ目の錯覚か勘違いってやつだよなぁ』

 アダムス「ええ、ええ・・・その通り、君は無実だ。
  それに、そう勘違いです。我々は何か勘違いをしていたんです!」

 サラ「え?む、無実なの?
  それに勘違いってアルストの事・・・?
  あぁ!もしかして武器屋の件ですか!?」
 
妄想サラ『分かったんならとっととそこをどきな!
  いつまでアタシの道を塞いでるつもり!?』

ガード達は皆同じく妄想サラの言葉を聞いて、逆らったら自分達も宇宙へ殴り飛ばされてしまうかもしれないという恐怖に負けた。
そして全員一緒に脱兎のごとく走り去った。

 サラ「あ、あれ?どこいくんですか!?ちょっとまっ・・・・
  あぁ、行っちゃった・・・」

ガード達が走り去ると、空から悲鳴が聞こえてきた。アルストであった。
殴り飛ばされた位置に向かって落ちてきたので、サラはその場から飛びのいた。
ドゴッという音と共に、アルストは地面にめりこんだ。

 サラ(よ、よかった・・・こっちの星まで割れるんじゃないかと・・・
  でもどうしよう、星の事は無実って言ってたけど、アルストが・・・
  いくらなんでも死んじゃったよね・・・)

地面に埋まったままグッタリしているアルストの顔を覗き込もうとサラがしゃがんだら、
アルストが目を覚ましてガラガラと音を立てながら穴から這い出てきた。

 アルスト「さ・・・サラ、冗談じゃねぇぞ・・・
  この俺でさえ、今のはヤバかったぞ」

 サラ「な、なんてタフなのよ・・・あの星よりHPが高いってワケ・・・?」

 アルスト「そ、そういえば・・・
  おれは空にむかってぶっ飛ばされていると
  思ったらいつの間にか地面にぶつかって跳ね返っていた。
  な… 何を言ってるのか わからねーと思うが・・・」

そこでアルストは力尽きて気を失ってしまった。

 サラ「あ、アルストー!」

 

サラは気を失ったアルストを背負って宿へ行き、部屋を借りた。
部屋についてアルストを寝かせると、自分も眠ろうと布団をかぶろうとして、ふと窓から見える星空に目をやってしまった。

空には、やはり割れた星が浮かんでいた。
その事がどうしても気になってしまい、ついにサラは眠る事が出来なかったのだった。

 

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