男「さぁ早く来い!
今なら衛兵が時間を稼いでいるが・・・そう長くはもたない!」
アルスト「だから・・・何から逃げるんだよ?」
男「神々の血にかけて!お前知らないのか?」
アルスト「じっちゃんの名にかけて!知らねえぜ」
男「Deadraが昨夜、ここKvatchを襲撃したんだ!
城壁の外に突然Oblivionの門が出現して・・・!
その門は巨大な生物のようだった・・・まるで悪夢から抜け出してきたような・・・
それが城壁の外で光って・・・炎がはじけたんだ。
そしたらどうだ!奴らは門からあふれ出て・・・城壁の中へ入ってみんなを・・・殺していった・・・」
アルスト「フアハハハ!俺は無敵だ!そんな奴らなんて怖くない!
それに、都市を一日でぶっ壊せるわけないぜ?夢でも見たんだろ」
男「じゃあ自分の目で確かめてこい!」
その話を全く信じていないアルストであったが、男の様子がだんだんと尋常でなくなっていくのを見て、これは本当かもしれないと思い問いかけた。
アルスト「ま、マジ・・・なのか?」
男「ああ・・・中にまだ教会の中へ避難してる人たちがいるらしいが・・・
もう諦めるしかない!どうしようもないんだ!俺はもうここに居たくない!」
走り去ろうとする男の腕を掴んで顔をこちらに向けさせると、アルストは言った。
アルスト「なんだと?そんな危険な所にまだ美女が残ってるだと!?
シスターがピンチだと!?巫女さんが危機に陥っているだと!?」
男「び、美女?い、いや・・・まぁ・・・そうだな、居るかもな?
でも巫女さんはさすがに・・・」
男が言い終わる前にアルストは走り出した。Kvatchの城門の方向へ。
坂道を駆け上がり城門近くまで来ると、男が言っていた奇妙な門のようなものが見えた。
城壁がこれほどボロボロになっているところを見るかぎり、町の方も無事ではないだろう。
坂道を駆け上がってきた勢いそのままにOblivionの門へ突進しようとすると、
突然アルストは羽交い絞めにして押さえつけられた。
アルスト「邪魔すんな!離せえええええぇぇぇ!」
マティウス「あ、暴れるな!
ここは君の来るところではない。キャンプに戻るんだ!
ガード隊長の、このマティウスの命令だ!」
アルスト「何が命令だ!
俺は美女を助けに来たんだ!
あの門にビビってここで指くわえてるだけの野郎は黙ってろ!」
マティウス「ビジョ?
・・・っく・・・そうか、そういう事か・・・」
(きっとこの旅人にはビジョと言う名の恋人が居て、このKvatchに住んでいたんだ・・・
だからこんなに必死になっているんだ・・・
確かに教会には逃げ遅れた人たちが居るらしいが・・・この旅人の恋人が運良く居るとは・・・とても・・・)
くっとうめいて首を振り涙をこらえ、震える声でマティウスは言った。
マティウス「だが、だがそれでも行かせるわけにはいかんのだ・・・
私は残ったわずかな市民を保護しなければならない。それが今の私に出来ることの全てなのだ。
君も例外ではない」
アルスト「誰がお前に保護して欲しいって言った!
俺は俺の力だけで美女を助けるんだ!」
マティウス「君も死ぬかもしれんぞ?それでもいいというのか?」
アルスト「俺がそのくらいで死ぬわけねぇだろが!」
マティウス「どうやら、君の決意は固いようだな・・・」
そういうとアルストを押さえつけていた腕をほどき、1歩下がって話し始めた。
マティウス「町の中にはまだ逃げ遅れた人たちが居る。
教会に陣取って抵抗を続けているらしい。
私もなんとかしてその人たちを助けに行きたいが・・・あのOblivionの門があって城門に近づく事すらできなくてな・・・
そこであの門を閉じるために部下を中へ送り込んだのだが、帰ってこない。
君にそこまでの覚悟があるのなら、中へ入って部下を助けてやってほしい。もし彼らが生きていなかったときは・・」
アルスト「関係ないな。美女を助けるためだ。
もしもお前の部下が全員死んでても俺があの門を閉じてきてやるよ」
マティウス「すまない。本当なら一緒に行きたいがここを離れるわけにはいかんのだ。
幸運を祈る」
マティウスと話し終えるとアルストは門まで走り、門を見上げた。
近くで見るとその大きさと異様さに圧倒され、常人ならば躊躇ったであろう。
しかし、今のアルストはこの程度ではひるまなかった。
アルスト(待ってろよ美女たち!君達を助けてその後は・・・
・・・・・・・・
美女たち「ありがとうございます!アルスト様!」
俺「当然の事をしたまでだ。フハハハハハハ!
さぁ君達も当然の事をしたまえ」
美女たち「アルスト様ぁ・・・」
・・・・・・・・
クックック。完璧だ。全て俺の肉奴隷に!フハアアアアアアッハハハハハハ!!!)
ひるむどころか、怪しげなほほえみを浮かべながらオブリビオンゲートをくぐっていくのだった。
続く