アルストは気配も感じさせずに突如として現れたこの女について考えていた。

 アルスト(馬鹿な、ありえない。
  こんな・・・馬鹿な!どういう事だこれは罠か!?
  こんな鎧見た事も無いぞ、なんてエロいんだ!
  胸元が開いてるなんてレベルじゃない・・・がっつり開いてるじゃないか!
  誘ってる・・・間違いなく誘ってるぞ!
  いやしかしなぜだ?!ここはあのDremora達の住処だ。こんなところに人間の女が居るはず無い。
  ん?・・・あのでかい剣は・・・?
  ま、まさかそういうことなのか・・・・!! 
   ・・・クックック・・・そうか、そういう事か!
  では話は早い。一発ここはキメさせていただくとしよう)

目の前で表情をコロコロ変えるアルストが突然現れた自分にビックリしていると思った女は、自分は怪しい者ではないというように話しかけた。

 サラ「え、えーと・・・私の名前はサラ。
  あなたは?」

 アルスト「ふふふ、サラか。
  うむ・・・そうか、やはり知りたいか。
  俺の名はアルスト!
  世界最強にして生物史上最高に美形な生きる伝説の英雄様だ!」

サラと名乗った女は、無意味に自信満々で大きな声に少し後ずさった。

 サラ(何を言ってるのこの人・・・
 
 もしかして変人なのかしら・・・
 
 で、でもここまで来たって言う事は多分悪い人じゃ無いわよね・・・?・・・きっと)

アルストを何気なく観察する。

 サラ(戦士っぽい感じよね、でも何で杖を装備してるんだろ?
 
 ここまで来る途中に壊しちゃったのな?
 
 あ、だったらあれがあったわね)
  「あの〜、アルストさん?
  もしかして、武器を壊してしまったの?」

↓ アルストの妄想

 アルスト「うむ。
  やはり見ていたのだな。この程度は余裕だ。」

 サラ(武器を壊しても余裕でここまでたどり着いたっていう事・・・・?)
  「そ、そう。
  でもそれじゃ大変でしょう?
  この棒をあげるわ。頑丈そうだし、その杖より役立つと思うから。」

そう言ってサラは棒を取り出してアルストへ突き出した。

↓ アルストの妄想

 アルスト「ハァーッハッハッハ!!ではもらってやろう!」

そう叫ぶとアルストはサラの手を取って引き寄せた。

 サラ「ちょ、ちょっと?!」

突然引き寄せられて、アルストのいやらしい顔が近づいてくるとサラは反射的に動いた。

つかまれている手と肩を払いのけ、ジャンプして脳天へ拳を叩き込む。
多少のジャンプはしていようとも、その様はまさにスラムダ○クでゴリが桜木へと拳を打ち下ろした姿そのものである。

結果、アルストはあまりの衝撃に床にめり込んでしまった。

結果、アルストはあまりの衝撃に床にめり込んでしまった。
 

 サラ(や、ヤバ・・・
  死んじゃったかも・・・)

だがサラに声をかけられたアルストは、めり込んだ穴からズルズルと這い出て頭を抑えながらも元気よく言った。

 アルスト「な、なにをする!
  俺じゃなかったら死んでるぞ!」

 サラ「が、頑丈ね・・・」

 アルスト「肉奴隷の分際でこの俺にゴリパンチを食らわすとは!
  許さんぞサラ!」

 サラ「はぁ!?何でそうなってるのよ!」

 アルスト「何言ってんだ!
  お前俺に一目惚れして後を付けてきたんだろ?
  ほらみろ!やっぱり、にくどr」

ドコッという音と共にまたもアルストが床にめり込む。

 サラ「違うわ!
  それよりほら!変な事言ってないでSigilStone取ってよ!
  ゲートが閉まらないじゃない!」

床からズボッっと顔を出してアルストが言った。

 アルスト「いでええ!
  お前が取れ!あんな熱そうなの触りたくない!」

 サラ「熱そうだけど、実は熱くないの!
  さ、早くとって!」

穴から這い出たアルストはサラが持っていた棒を床から拾い上げると、恐る恐るSigilStoneへ近づいた。

 アルスト「熱くないんならお前が取ればいいだろ?
  何で俺が取らなくちゃいけないんだ・・・」

 サラ「いいから早く!
  その棒で突っついて落とさないでよ?ちゃんと取って」

サラに言われて突き出していた棒をしぶしぶながらしまうと、片手をSigilStoneに近づける。

 アルスト(本当に大丈夫だろうな・・・)  

 

ついに手がSigilStoneへと触れると、突如として変化がおきた。

周囲から炎のようなものがSigilStoneへと収束する。
その状態が一段落すると、SigilStoneが手の中に納まるサイズに縮んだ。

慌ててアルストがSigilStoneを取って懐へしまうと、
今までSigilStoneめがけて下から吹き上がっていた炎が一気に天へと噴き上がった。


 

一直線に噴き上がっていた炎が、ふいに不安定になり塔は炎の中につつまれてゆく。

 

 

 アルスト「うぉぉぉぉぉぉぉぉおあああああああああぁぁぁぁぁ!」

爆発でもしたかのような炎に包まれて目の前が真っ白になり、アルストの意識も遠のいていった。

 

続く

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