ガサゴソと何者かが自分の懐を漁っている。

意識の遠のいているアルストはそんな気がしたが、まだ目を開ける事すら億劫であった。

 ???「うぅ・・・苦しい・・・
  どこにしまったのよ・・・急がないと・・・
  ・・・あ、あった」

何者かは目的の物を見つけたらしく、アルストの懐からそれを取り出した。

そして・・・ゴックン、と何かを飲む音がした。

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・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

 ???「・・・と!ちょっと!
  え〜と・・・アルスト、アルスト!大丈夫?」

誰かが自分の頬を突付きながら怒鳴っている。

 アルスト「う、う〜ん?なんだぁ?」

目をパチパチとしながらアルストは目覚めた。

 サラ「やっと起きた。体、なんとも無い?」

目覚めたアルストはガバっと起き上がると自分の体を見回してため息ながら言った。

 アルスト「おぉ、何ともないぞ」

 サラ「だから言ったでしょ、熱そうに見えるだけだって」

 アルスト「お前も無事だったようだな」

 サラ「えぇ。
  それより、ゲートが閉じたわ。後は中の奴らを片付けるだけよ」

 アルスト「そうだった!中で美女たちが俺の助けを待ってるんだった!
  急ぐぞサラ!」

 サラ「中にまだ人が居るの?!早く助けないと!」

アルストが立ち上がりサラと共に城門に走ろうとすると後ろから声が上がった。
マティウスであった。


 マティウス「ゲートを閉じたんだな!でかしたぞ、これで中へ入れる!」

 サラ「この町のガードね?手伝って!取り残された人を助けるのよ!」

 マティウス「君は・・・誰だね?」

 アルスト「オッサンさっさと行くぞ!」

少し困惑気味なマティウスに檄を飛ばしながらKvatchの門を開き中へと入っていった。

 

Kvatchの町はひどく破壊された後だった。

まず目に入ったのは上部を吹き飛ばされた教会と思われる建物。
どのような力が加わればこのようになってしまうのか想像もつかないほど、破壊されている。

民家などは壊しやすかったのか徹底的に破壊され、所々で火の手が上がっている。
町には人の代わりにDeadraが闊歩しており、まるで彼らの住処へ来てしまったのではないかとさえ思えた。

そんな状況であるにもかかわらず、アルストは腕組みをし町の惨状を眺めながら仲間たちが来るのを待った。

 アルスト「よし、では行けお前達!
  俺のために道を切り開け!」

 サラ「はぁ!?あんたも戦いなさいよ!」

 マティウス「全くだ!我々は君をあてにしているんだぞ!」

 アルスト「ふむ、確かに俺は頼りになる。
  しかし今は魔法の修行中でな」

 サラ「つまり、あんたは魔法使いなわけね・・・」

 アルスト「「いや、修行中なだけだ。
  俺が得意なのは・・」

 マティウス「分かった、分かった。
 
 では後方に居てくれ、回復や支援は任せたぞ。
 
 さぁ行くぞ!クヴァッチのために!!」

呆れたような顔をしてマティウスが無理やり話をまとめ全員に声をかけた。

その声をきっかけにアルストを除く全員が武器を構えてDeadraに突撃していった。


 

 

 

 

 

 

 

・・・

・・・・・・

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マティウスは肩で息をしながらも、よほど嬉しかったのだろう満面の笑みを浮かべながら武器を高く掲げて勝ち鬨をあげた。

 マティウス「はは!やったぞ!
  我々はあの悪魔たちを一掃したんだ!」

こちらも一人を失ったが、大勝利に間違いは無かった。
そのままマティウスは部下を引き連れて教会へと入っていった。

 アルスト(にしてもサラの奴、結構強いな。
  あいつ一人でほとんど倒しやがった)

元居た場所から一歩も動かずにそんな事を考えていたアルストにサラが近づいてきて言った。

 サラ「あんた結局そこから動かなかったわね・・・」

 アルスト「よし、教会への道は開けたな!行くぞ!」

 サラ「ちょ・・・!待ちなさい・・・!
  ・・・はぁ・・・なんなのあいつは・・・」

一足先に教会へと入っていったマティウス達を追って、アルストとサラも教会へと入って行った。

 

続く

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