♪音楽ストップ

 

 

 

 

橋の上でオブリビオンの軍勢と熾烈な戦いを繰り広げていた便利屋一行とプラスアルファの面々は、
突然敵が居なくなったことで右往左往していた。

 サラ「どうなってるの!?
  さっき橋の向こうでデイゴンみたいなのが見えたけど何処へ!?
  まさかもう首都の中へ!」

先ほどここからも見えるくらいに巨大な4本腕のデイゴンらしきものが出現したのが見えていたが、
それは突然霧のようになって消え、無数に居た軍勢もオブリビオンゲートの中へと消えて行った。

 サラ父「いや・・・
  デイゴンは、どうやら死んだようだ」

ここから橋の向こうはかなりの距離があり、加えて巨大な敵と軍勢との戦いで、
便利屋一行とプラスアルファの面々はスケレーdの姿を確認する事が出来ていなかった。

 サラ「なんで!?」

 サラ父「考えられるとすれば・・・
  我に対するあまりの恐怖から自然死したのだろう。
  我の他にデイゴンを倒せる者などおらん」

 1号「お館様SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEwwwwwwwww
  でもあっけNEEEEEEEEEEEEEEEEEEwwwwww」

 

 

 

 

 

 

 

そしてデイゴンを倒したスケレーdは――――

 スケレーd「頼まれてくれるか、ストームプリンガー」

 ストームプリンガー「いいゼ。デイゴン喰って腹一杯だしナ。
  寂しくなるなぁスケレーd。でもヨ、またこっちに来たら一緒にデイドリックプリンスぶっ殺そうゼ」

魔剣ストームプリンガーと話しながら、知られざる英雄のスケレーdは森の中へと消えていった。

しかしそんな彼を見つめる一つの眼差しがあった。
民家の窓からヒョッコリと顔を覗かせる男は、タマネギのような髪型を揺らしながらスケレーdが消えて行った森の方へと駆け出した。

 タマネギヘアー(私は見た!見たぞ!
  他の誰も見ていなくても私は見た!
  あの着物を着たノルドの男がデイゴンを倒したのを!
  こうしてはいられない!早く!早くサインを貰っておかなければ!)

タマネギヘアーの手には、いつの間にやらサイン色紙とペンが握られている。
そしてそのまま森の中へと飛び込んだ。

タマネギヘアーが夜の森へと飛び込むと、すぐにスケレーdに遭遇した。

だがもうその時には、スケレーdはノルドの姿をしておらずスケルトンの体へと戻っていた。
奇跡の効果が切れていたのだろう。

 タマネギヘアー「うわああああああああああああ!!!
  モンスターだああああああああああああああ!!!」

タマネギヘアーはスケレーdがノルドになった後から、スケレーdとデイゴンとの戦いを見ていたのだろうか。
スケルトン姿のスケレーdに驚いて、色紙とペンを放り出してどこかへと悲鳴を上げながら走り去ってしまった。

 ストームプリンガー「なんだアイツ?変な髪形だナ」

 

 

 

 

 

そして便利屋一行は――――
サラの父親と、1号2号3号のドレモラトリオがデスランドへと帰ると、首都の中へと戻った。

首都の中では、アダムス・フィリダ改めカイム・アラゴナーの指揮の元、様々な街のガード達がせわしなく後処理をしていた。
そんな中でインペリアルガードの1人が便利屋一行に気付き、便利屋一行はオブリビオンの軍勢を退けた英雄として迎えられた。
インペリアルガードは便利屋に対してお礼がしたいと申し出たが、流石の便利屋一行も戦いで疲れ果てていたため、
それは後日にして欲しいと言って、その日は宿へと戻り、短い休息をとって次の日の朝に天空の城へと帰って行った。

 

 

天空の城へと到着すると、見知らぬ人の叫び声が彼らを迎えた。

 ジョフリー「早くしてくださらぬかアルストどの!
  マーティン殿下はお急ぎなのだ!」

叫び声の主はジョフリーだった。
あくびをしながら城の門から出てきたアルストを大声で急かしている。

 アルスト「うるっせぇな。ったく、いいだろ別にデイゴンぐらい復活しても」

 ジョフリー「全くよくない!デイゴンが復活したらこの世は終わりなのだぞ!」

 アルスト「俺が居る限りそれはねぇよ。
  ・・・ん?おーい!もう帰ってきたのか!」

アルストが帰ってきたサラ達に気付いて手を振っている。
折れていたはずの足も、もう完全に治ったようでその足取りもしっかりとしていた。

 サラ「ええ。本当は今日の夕方ごろに帰ろうと思ってたんだけどね・・・
  そちらはお客様?」

 アルスト「うむ。皇帝の子供の生き残りらしい。
  コイツらの依頼で俺はちょっとインペリアルシティに行ってくる。留守番は頼んだぞお前ら」

 サラ「へー。皇帝のこど・・えええええええええええ!?
  だ、だ、だめよアンタなんかにそんな仕事任せられるわけないでしょ!?」

 

もめ始めた便利屋達に業を煮やし、ジョフリーがもう一度アルストに向かって怒鳴った。

 ジョフリー「我々は急いでいるのだと何度言ったら分かるんだ!!!」

憤慨するジョフリーに、もうちょっと待てと言ってサラを呼ぶアルスト。
そして小さな声で彼女に耳打ちをした。

 アルスト「あのハゲの横にいるのが皇帝の子供のマーティンだ」

 サラ「ほ、ホンモノなのね?」

 アルスト「うむ。と言うわけで俺はアイツらを首都まで連れて行く。
  なんかドラゴンファイヤとか言うのを灯さねえとデイゴンが復活するらしい」

アルストとサラの2人は小さな声で話し続けた。

 サラ「・・・デイゴンなら昨日復活したわよ?」

 アルスト「な、なにマジでか?お前らが倒したのか?」

その問いにサラは首を横に振って答えた。

 サラ「ううん。私のクソオヤジが言うには勝手に死んだらしいけど・・・
  そんな事ありえないわ」

 アルスト「当然だ。俺が居なかったのに倒せるわけねぇよ」

そこへリンが入ってきて言った。

 リン「そういえば、タマネギみたいな髪をした人が、
  ノルドの人が1人でデイゴンを倒したって言ってましたよ」

 アルスト「ああ。タマネギの髪型ってだけで分かる。明らかにソイツは嘘つきだ。
  ・・・まぁつーわけで、アイツらをちょっと首都まで連れてくからな。
  デイゴンは、見つけたらちょっとぶっ殺しとくから安心しろ」

 サラ「・・・・・・」

 アルスト「クックック・・・そしてマーティンの野郎を事故に見せかけて殺せば、俺が皇帝だぜ」

不敵な笑みを浮かべてボソリと言い残し、アルストはジョフリーとマーティンの2人の方へと歩きだそうとした。
しかしサラがアルストの肩を掴んで彼を止めた。

 サラ「・・・アンタが素直に仕事を引き受けるなんて、はじめから思ってなかったわ。
  そう・・・暗殺をするつもりだったのね」

サラの手に力がこもり、アルストの肩がミシミシと軋んだ。

 アルスト「いてて!な、なんだ!?
  まさかお前も皇帝の座を狙ってんのか!」

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 サラ「そんなワケ・・・」

サラがアルストの肩からパッと手を離した。手から逃れようとしていたアルストの体が一瞬泳ぐ。

 サラ「ないでしょ!!!」

そして体勢の崩れたアルストに、サラのアッパーカットが綺麗に決まり、
アルストは天空に浮かぶこの孤島からさらに上空へと打ち上げられた。

 アルスト「グハアアアアアアアアアアアアアアアア」

その日も素晴らしい晴天だった。

太陽が燦燦と輝いて、空を滑空するアルストの眼下に広がるシロディールを生き生きと照らし出している。

そこには活気に満ち溢れた人々と、のびのびと育つ大自然が広がり、遠くに見える海はキラキラと光を反射していた。

今日も、シロディールは美しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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