柔らかい声が耳へと届いた。
その声はとても懐かしく、スケレーdが最も聞きたかった声であった。

 ジュリエット「スケレーd。もうこっちへ来てしまったのね」

 スケレーd「ああ・・・ジュリエット。
  約束を果たしに来た」

 ジュリエット「あなたはもう約束を守ってくれたわ」

 スケレーd「まだだ。いつか一緒に暮らそうと約束した。それにまだ君を幸せにしていない」

 ジュリエット「スケレーd・・・ありがとう。
  でも、ここじゃ幸せになれないかもしれないわね」

 スケレーd「なぜだ?まさかここは地獄?」

 ジュリエット「いいえ。ここは天国のような場所。
  でも、地獄とも言える場所よ。
  ・・・・・・ここでは誰もが働かされるの。魂が磨り減って無くなってしまうまで」

 スケレーd「なんだと?誰がそんな事を」

 ジュリエット「神様、仏様、閻魔様・・・みたいな存在たちが。
  彼らは全てを作り出したけど、それは全て彼らの娯楽のためだったの。
  そして今彼らの最大の娯楽は、私達を苦しめる事」

 スケレーd「なんということだ・・・」

 ジュリエット「あそこに大きなお城が見えるでしょう?彼らはあそこに居るわ。
  ・・・ここから離れましょうスケレーd。彼らの目の届かない場所まで逃げましょう」

 スケレーd「・・・?あれは、インペリアルシティ?」

 ジュリエット「あなたには、あれがインペリアルシティに見えるのね。
  でも、それもしょうがないわ。あれは人智を超えた場所。見え方は人それぞれ。
  分かるでしょうスケレーd?
  あれは私達の想像を超えた場所なの。だから・・・」

 スケレーd「いや。ワシは行かねばならない」

 ジュリエット「なぜ!?あそこに行ったら捕らえられて魂が磨り減るまで・・・!!」

 スケレーd「ワシは君と約束をしたのだジュリエット。
  約束を果たすための障害となるのならば、それが例え神や仏や閻魔でも退けるのみ」

 ジュリエット「考え直してスケレーd!そんなことは不可能よ!」

 

 

♪音楽ストップ

2人の元に、何者かの声が轟いた。

 ???「ギャハハハハハハハハ!話は聞かせて貰ったゼ!」

 スケレーd「その声は、ストームプリンガー?
  お主には墓守を頼んだはずだが」

スケレーdが気付くと、いつの間にか彼の背にはストームプリンガーが背負われていた。

 ストームプリンガー「その事なら心配しなくていいゼ!
  それよりも、今度はアルファども殺っちまうんだロ!?
  俺も連れてケ!アルファどもの魂を喰ってみたいからナ!」

そこへもう一つの声が、ストームプリンガーから響いた。

 ???「フン・・・朕を倒したくらいで、思い上がりも甚だしいわ」

 スケレーd「!?これはデイゴンの声!」

 ストームプリンガー「なんでダ?俺の腹の中で消化されそうになってる筈ダロ?」

 デイゴン「舐めるなよ魔物。
  確かに今、朕は貴様の腹の中だが、朕の力を持ってすればいずれ貴様の意識を乗っ取る事も容易いわ」

 ストームプリンガー「なんだトー!上等だ!全力で消化してやル!」

ストームプリンガーとデイゴンが言い争いを始めた。

 

 

スケレーdはジュリエットの顔を見つめると、デイゴンと一緒になって煩く騒ぐ魔剣を背負い、歩き出した。

 ジュリエット「待って。本当に行くのねスケレーd」

 スケレーd「ああ」

 ジュリエット「なら・・・私も行くわ」

 スケレーd「な、なに?」

 ジュリエット「あなたは約束を果たしてくれるんでしょう?
  それなら、私もその手伝いをしなくちゃならないわ。
  だってあの時私も誓ったもの。あなたと共に歩もうって」

 スケレーd「ジュリエット・・・」

そして、2つの意志を持つようになった魔剣を背負ったスケレーdとジュリエットは歩き出した。

向かうは、人の理解を超えてそれぞれに違う見え方をする場所。

 

 

2人はしばらく歩いた後、急に立ち止まった。
そして2人揃ってお互いに向かって手を伸ばしあった。
その手は触れるか触れないかの場所で止まり、何を思ったか2人はお互いの名を叫んだ。

 スケレーd「ジュリエットー!」

 ジュリエット「スケレーdー!」

2人はしばらく見つめあい、何事もなかったかのように、また歩き出す。
しかし、しばらくすると、またしてもお互いに手が触れるか触れないかの微妙な距離に手を伸ばしあってお互いの名を叫んだ。

 

 

そしてまたしても何事もなかったように歩き出し、またしばらくするとその意味不明な行為をし合った。

 

 

 

 

 デイゴン「これは一体・・・なんだ?なにをしている?」

 ストームプリンガー「知らネ。ロミオとジュリエットじゃネ?」

 デイゴン「なんだそれは・・・この行為はいつまで続くのだ?」

 ストームプリンガー「知らネ。つか普通に抱きしめあえよって感ジ」

その謎の行為は、一定距離を進むと何度も何度も繰り返された。

 

 デイゴン「魂喰い」

 ストームプリンガー「なんだヨ」

 デイゴン「早く朕を消化し尽くせ。
  この茶番を何度も・・・間近で繰り返されるのは、生き地獄だ」

 ストームプリンガー「・・・・何諦めてんだヨ!!それでもデイドリックプリンスかデイゴン!
  お前こそ、さっさと俺の意識を乗っ取りやがレ!」

スケレーdとジュリエットの奇行に嫌気がさした魔剣とデイゴンは、お互い自分を殺せと言い合った。

 

 

 

 

2人は進んだ。

目的地に居るのは全ての始まり、アルファ。

全てを作った創造主。

だが、2人は迷いもなく進んだ。

約束を果たすため。

ただそれだけのために。

2人は、またしても、不可能を可能にしようとしていた。

♪ 駆けろ、3つの「時」を  ←FUSION WORLD様に著作権があり、無断転載、再配布は断じて禁止です。
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